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総則



■人

1、権利能力:人は社会の中で他人から物を買ったり売ったり取引することができる。つまり、権利や義務の主体となること(権利能力を有する)ができる。民法では権利能力を持っているのは自然人と法人とされている。胎児については、相続と遺贈と不法行為に基づく損害賠償の請求の3つに関しては権利能力が認められている。

2、意思能力:自分がした行為により、どのような結果になるかを理解する能力のことを意思能力という。おおよそ7歳から10歳程度の精神能力のこと。

3、行為能力:一人で有効な行為をする能力のことを行為能力という。この行為能力を制限された人のことを制限能力者という。

4、制限能力者:制限能力者には、未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人の4種類がある。未成年者以外の制限能力者は本人や配偶者などが家庭裁判所に請求して審判を受ければ制限能力者になれる。制限能力者になると一部の例外を除いて、制限能力者が単独でした取引などは、本人やその保護者などが取消すことができる。取消すまでは有効な取引として扱われるが、取消すと無効になる。だが、未成年者が年齢を偽って成年に見せかけるなど、詐術を使った取引の場合は、取引相手保護のため制限能力者であっても取消しはできない

■物(ブツ)

1、不動産と動産:不動産とは動かないもののこと。例えば土地や建物など。動産とは不動産以外のもののこと。

2、主従と従物:主物についているものを従物という。家でたとえると、家が主物で、ふすまが従物。

3、元物と果実:果実には天然果実(りんごなどのこと)と法定果実(利息や賃料などのこと)がある。果実を生み出すもののことを元物(ガンブツと読む)という。

■法律行為

1、法律行為:法律行為とは、行為を行うことによって、法律上の権利や義務が発生する行為のこと。

2、法律行為の成立:例えば、AとB二人いたとする。AがBの土地を買うという法律行為をする場合、Aの購入するという意思とBの売却するという意思が表示され、その意思の表示が合致して初めて法律行為の成立となる。

■意思表示

1、意思の欠缺:意思(思うこと)と表示(言うこと)が違うことを意思の欠缺という。意思の欠缺には、心裡留保、通謀虚偽表示、錯誤の3つがある

2、心裡留保:冗談や嘘で、意思とは違う表示をすることを心裡留保という。例えば、AがBに欲しくないものを欲しいと言った場合など。この場合、Bが善意なら原則有効、悪意なら無効

3、通謀虚偽表示:相手と示し合わせて取引をしたように装うことを通謀虚偽表示という。例えば、AとB二人いたとする。Aは多額の負債で土地を失う可能性があり、失う前にBに売った場合、このような取引は無効となる。しかし、第三者のCが善意でBからその土地を買った場合はAとBの取引は有効となり、土地はCのものになり、Aは無効を主張できない。

4、錯誤:錯誤とは勘違いのこと。例えば、Aが1000万円の車を、100万円と勘違いして買うといった場合、要素の錯誤(勘違いが無ければ普通はそういう意思表示はしないだろうというような場合のこと)であり、重過失(ひどい落ち度のこと)がなければ無効になる。

5、瑕疵ある意思表示:意思と表示は同じで違いは無いが、意思までの過程に問題があることを瑕疵ある意思表示という。瑕疵ある意思表示には、詐欺と脅迫の2種類がある。

6、詐欺:だますことを詐欺という。例えば、AとB二人いたとする。AがBにだまされて土地を売るという意思表示をした場合、Aは取消すことができる。だまされたが売ってもよいならそのままにしておけば有効、売りたくないなら取消して無効にすればよい。もし、Bが第三者のCにAが取引を取消す前に土地を売った場合、Aは取引を取消すことができる。AはCが悪意なら取消したことを主張して土地を取り返せるが、善意なら土地はCのものになり取り返せない

7、脅迫:脅されることを脅迫という。例えば、AとB二人いたとする。AがBにおどされて土地を売るという意思表示をした場合、Aは取消すことができる。おどされたが売ってもよいならそのままにしておけば有効、売りたくないなら取消して無効にすればよい。もし、Bが第三者のCにAが取引を取消す前に土地を売った場合、Aは取引を取消すことができる。AはCが善意悪意どちらの場合でも土地を取り返すことができる

■代理

1、代理:自分の代わりに何かをやってもらうことを代理という。代理をしてくれる人を代理人という。代理人がしたことは自分がしたことになる。これを効果の帰属という。例えば、AがBに土地取引の代理人になってもらい、BがCと取引をした場合、契約はAとCがしたことになる。

2、代理の要件:代理をするためには、代理権が必要であり、自分が代理人であると相手にいい、名前を明らかにしなければいけない(顕名という)。

3、代理人の種類:法定代理人、任意代理人、複代理人の3種類がある。

4、法定代理人:法律に書いてある代理人のこと。例えば未成年者の親権者など。

5、任意代理人:誰かの意思によって選ばれた代理人のこと。例えば、1のBのこと。

6、複代理人:代理人の代理人のこと。例えば、AがBに土地取引の代理人になってもらい、Cと土地取引をする場合、Bが何らかの理由でCと取引ができず、BがDに代理人になってもらい、DとBが取引をしたとする。この場合、効果はAに帰属する。つまり、AとCが取引をしたことになる。

7、代理権の制限:代理人が自分自身で相手方を兼ねることを自己契約という。例えば、1のCをBがすること。この場合、契約はBが独自で進めることができるのでAは不本意な結果になるかもしれない。そこで、自己契約は本人の承諾がある場合においてのみ認められている。また、代理人が契約の当事者双方の代理人になることを双方代理とよび、自己契約と同様の制限がある。

8、無権代理:代理権の無いものが代理行為をすることを無権代理という。このような場合、結ばれた契約は本人に帰属しない

9、表見代理:実際には代理人でない人を代理権のある代理人であると間違えた場合を表見代理という。例えば、Aが、実際には代理権の無いBをCの代理人だと間違えて契約をした場合、Aが善意無過失なら契約の効果はCに帰属する。

■無効と取消

1、無効と取消:効力が初めから存在しない行為を無効という。これに対して、一応有効だが取消されると初めから無効となるのが取消しである。

2、主張できる人:無効の行為は効力自体が存在しないので誰でも主張できる。取消しできる行為は制限能力者やその代理人、瑕疵ある意思表示をしたものなどに限られる。

3、追認:取消しできる行為を有効なものとして確定させることを追認という。無効な行為については初めから効力が無いので追認できない

■時効

1、時効:時効とは時の効力と書き、継続してきた事実を尊重し、それに伴った法律上の権利を与えたり奪ったりすることをいう。取得時効と消滅時効の2種類がある。

2、取得時効:時効により権利を得ることを取得時効という。例えば、他人の土地を他人のものであると知りながら占有していた場合、20年たてば自分の土地となる

3、消滅時効:時効により権利がなくなることを消滅時効という。例えば、他人から借りたお金も返さなければならない日から10年たてば返さなくてもよい

4、時効利益の放棄:例えば、人から借りたお金は10年たてば返さなくてもよくなるが、時効の利益を放棄すれば返すことができる。しかし、この時効利益の放棄は時効が完成した後でないと行うことができない

5、時効の中断:時効が進んでいる間にそれを覆すような事実が発生した場合には、それまで進んだ時効期間はゼロになることを時効の中断という。例えば、借金をしてから5年たっていても借主が承認すればそれまでの5年はゼロになり、時効が完成するまで更に10年が必要となる。

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