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債権



■債権

1、債権:債権とは特定のに何らかのことをやってもらえる権利のこと。例えば、AがスーパーでBからノートを買った場合、Aにはお金を払う義務とノートを受け取る権利、Bにはお金をもらう権利とノートを渡す義務が生じる。この義務のことを債務、権利のことを債権という。

2、債権の特徴:債権は人に対しての権利であり、排他性が無い。例えば、AがBにテレビを売ると約束したのち、AはCにもテレビを売るという約束ができる。

3、契約自由の原則:債権の特徴の一つに契約自由の原則がある。これは、ある一定の場合を除いて、誰とどのような契約をしてもいいという原則のこと。約束をすれば債権や債務が生じるので、どのような債権や債務も存在するということになる。

■債権の種類

1、特定物債権:特定されているものを特定物といい、特定物が債権であることを特定物債権という。例えば、AがBからパンを買うときに、あのメロンパンと指定して買うこと。

2、不特定物債権:特定されていないものを不特定物といい、不特定物が債権であることを不特定物債権という。例えば、AがBからパンを買うときに、パンなら何でもよいといい、買うこと。

3、選択債権:複数の選択肢からどれかを選ぶことによって定まる債権のことを選択債権という。例えば、A(カメに関しての債権者、お金に関しての債務者)がB(カメに関しての債務者、お金に関しての債権者)から3匹のカメのうちから1匹を売ってもらうとき、Bがどのカメを売るかを選ぶことができること。選択はカメに関しての債務者が選ぶことができる

■債務不履行

1、債務不履行:債務を本来成されるべき形で実行しないことを債務不履行という。例えば、AとBが、「Bが7月1日の午後3時にピザを5枚持ってくる」という契約を交わし、Bが7月1日午後3時にピザを持ってこないこと。

2、債務不履行の種類:債務不履行には履行遅滞、履行不能、不完全履行がある。例えば、1の場合、7月1日に間に合わないことを履行遅滞といい、ピザ5枚を作れなくなってしまうことを履行不能といい、ピザ3枚は配達できたが2枚配達できなくなったときを不完全履行という。

3、債務不履行時の債権者の手段:債務不履行になった場合、債権者はいくつかの手段をとることができる。裁判所などの力を借りて強制的に実行させる強制履行、損害発生時にはその損害を賠償させる損害賠償請求、契約を解除するなどである。

■責任財産の保全

1、責任財産の保全:債務不履行の場合、債権者は債務者に対して強制履行などの措置が取れる。しかし、債務者に財産が無い場合は財産を隠すような行為を防がなければいけない。これを責任財産の保全といい、債権者代位権と債権者取消権の二つの方法がある。

2、債権者代位権:債務者が無資力であるにもかかわらず債務者に属する権利を行使しない場合に、債権者の債権を保全するため、債務者に代わって債務者に属する権利を行使する権利のことをいう。例えば、AがBに50万円貸したが、BはAに50万円を返してくれなかった。Aが調べると、BはCに50万円を貸しており、BはCから50万円を返してもらうとAに返さなければいけないので回収しようとしていない。このような場合にAがCにお金を返してくれということを債権者代位権という。ただし、BがCにお金を返すよう権利行使している場合や、Bが他に財産を持っている場合は債権者代位権は使えない。債務額が財産を上回っている無資力の場合である必要がある。また、特殊な場合を除いて裁判所に対して請求する必要はない

3、債権者取消権:債権者が債務者の責任財産の散逸を防ぐために債務者が積極的になした財産を減少させてしまう法律行為を取り消す権利を債権者取消権という。債権者取消権は必ず裁判所に対して請求しなければならない。例えば、AがBに50万円を貸したが、Bはお金を返さなかった。AはそれならBの車を担保にしようとしたが、Bはその車をCに譲った。そこでAは、BがCに車を譲ったことを取消すよう裁判所に請求することができる。

■多数当事者間

1、多数当事者間の債権債務関係:債権者や債務者が二人以上になる場合の債権と債務を多数当事者間の債権債務関係という。債権者と債務者が一人だけの場合より複雑になる。

2、分割と不可分:金銭のように分割できる債権や債務のことを分割債権、分割債務という。一方、車のように分割できない債権や債務のことを不可分債権、不可分債務という。

3、連帯債務:債務者がそれぞれ債務の全額を支払わなければならない債務のことを連帯債務という。例えば、AとBがCから100万円で車を購入する場合、CはAに100万円を支払うよう言うこと、CはBにも100万円を支払うよういうことができることを連帯債務という。Cは200万円を受け取ることができるのではなく、100万円が支払われると債務は消滅する。この場合もし、Aだけが100万円を支払ったとすると、AはBに対して、AとBが購入前に決めた負担部分(どちらがどれだけお金を支払うか)を支払うよう求める権利がある。これを求償権という。

4、保証債務:債務者が債務を支払わないとき、債務者に代わって債務を支払う人が支払う債務を保証債務という。例えば、AがBから借金をしたが、Aが返せなくなったとき、CがAの債務を支払うと契約をすることがある。このCが支払う債務のことを保証債務という。またAの債務のことを主たる債務という。重要なのはCはAと契約したのではなく、Bと契約しているということ。これを債権者と保証人との間の契約という。もし、BがCに債務を支払うよう言ってきた場合、Cは「先にAに支払うよう言いなさい」とBに言うことができる催告の抗弁権と、「Aには支払い可能なだけの財産があるので、Aに支払うよう言いなさい」とBに言うことができる検索の抗弁権がある。それでもCがAの借金を支払った場合は、CはAに対して自分にお金を支払うよう言うことができる求償権があります。

5、連帯保証:保証債務の中には連帯保証というものがある。連帯保証人には催告の抗弁権も検索の抗弁権も無いのが特徴。保証債務のケースの場合、CはBがお金を支払うよう言ってきた場合、Aから先に払うように言いなさいなどという権利は無く、お金を支払わなければならない。しかし、CはAに対してお金を支払うよう求めることができる求償権はあります。

■債権の消滅

1、債権の消滅:債権がなくなるにはいくつかあるが、代表的なものに相殺と弁済がある。

2、弁済:債務者が債務の内容を実行することによって債権が消滅することを弁済という。例えば、AがBから3000円でCDを買う場合、AはBに3000円を支払い、BはAにCDを渡せば債権は消滅する。これを弁済という。ではもし、Cから預金通帳と印鑑を盗んだDが銀行に行き、銀行から預金を引き出した場合はどうなるか。この場合、弁済者である銀行が善意であれば、有効になる偽者の債権者を債権の準占有者といいます。CはDに対して返還をしてもらっていくことになります。

3、相殺:債権者と債務者とが相互に同種の債権債務を有する場合に、その債権と債務とを対当額で消滅させることを相殺という。例えば、過去にAがBに1万円を貸していて、AがBから1万円を借りたとします。この時、AがBに対して、帳消しにしようと言ったとします。これを相殺といいます。Aの債権を自働債権といい、Bの債権を受動債権といいます

■債権の発生

1、債権の発生:債権が発生するには契約、事務管理、不当利得、不法行為の4種類がある。

2、契約:意思表示が合致することにより成立する法律行為を契約という。契約のとき、言い出すほうの意思表示を申込みといい、それを受けるほうの意思表示を承諾という。契約のとき、通信販売などすぐに承諾をもらえないような契約のことを隔地者間の契約といい、この場合、契約の成立は承諾の通知が発信された時、成立する。

3、同時履行の抗弁権:契約のとき、一方がその債務の履行の提供をせずに債務の履行を求めてきたときに、もう一方が債務の履行を拒否することができることを同時履行の抗弁権という。例えば、AがBから本を買うと売買契約を結び、Aが「お金は払わないが、本を渡せ」といってきたので、Bが「お金を払わなければ本を渡さない」ということを同時履行の抗弁権という。

4、危険負担:契約のとき、債権者と債務者のどちらがリスクを負うかを、危険負担という。原則的に、債務者がリスクを負う債務者主義となっているが、対象となるものが特定物の場合は債権者がリスクを負う債権者主義となる。例えば、AがBから家を買い1ヵ月後に引き渡すと契約した場合、もし引き渡し前に家(特定物)が火事で焼けてしまったとすると、Aはお金を支払わなければいけない。

5、契約の種類:民法には13種類の契約が書かれている。代表的な契約が、売買と賃貸借。また、契約自由の原則により13種類以外にも当事者同士で独自の契約を作ることができる

6、売買:お金を支払い、物を買うことを売買契約という。他人のものを売ることも認められている。例えば、AがBから本を手に入れ、Cに1000円で売ることができる。

7、賃貸借:お金を支払い、物を借りることを賃貸借契約という。貸す人を賃貸人、借りる人を賃借人といい、賃借人が賃貸人に賃料を支払い、物を借りる。賃貸人に内緒で賃借人が別の人に又貸しすることを転貸借というが、これは認められてない。場合により、契約の解除につながる。また、賃貸借契約と似た契約に使用貸借契約というのがあるが、違いは賃借人がお金を払うか払わないかということ。使用貸借契約はお金の支払いは無い。

8、事務管理:何の義務も無く、他人から頼まれたわけでもなく、自発的に何かをすることを事務管理という。事務管理に要した費用は請求することができる。例えば、Aが道で猫を拾い家で世話をしていた。このAの行為を事務管理という。2週間後、猫の飼い主がBであることがわかった。AはBにかかった餌代を請求できる。しかし、猫の世話に対する報酬までは請求できない。

9、不法行為:故意または過失により、他人に損害を与えることを不法行為という。例えば、Aが自転車でわき見運転をしてるときに、Bをはねてしまった場合、Bは不法行為に基づく損害賠償請求権を得ることになる。Bは裁判などでAから財産上の損害(治療費など)や精神上の損害(慰謝料)を支払ってもらうことになる。また、不法行為による債権については債務者(A=加害者)のほうから相殺を申し出ることは許されていない。例えば、上のケースで、裁判により30万円の支払いが決定した場合、たまたまAがBに30万円を貸していたとする。この場合、Aから相殺を申し込むことはできない。なぜなら、Bが入院費などの支払いができなくなるかもしれないため。勿論、Bから相殺を申し込むことはできる。

10、不当利得:正当な理由なしに他人の財産から利益を得ることを不当利得という。例えば、AがBに借金などの債務が無いにもかかわらずあると勘違いしてお金を払うことをいう。

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