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労働法


行政書士試験では、労働法として分野分けされているが、具体的には労働基準法と労働組合法からの出題となる。

■労働基準法

1、労働基準法:労働条件の最低基準を定めた法律を労働基準法という。労働基準法より劣悪な労働条件での雇用は禁止されている。

2、使用者と労働者:雇い主、つまり会社のことを使用者といい、使用され賃金を支払われるもののことを労働者という。労働基準法では、労働者の中に失業者は含まない(労働組合法では失業者も含まれる)。

3、差別の禁止:使用者は、労働者の国籍や信条または社会的身分により、賃金や労働時間などの労働条件を差別してはいけない。また、女性であることを理由とした賃金差別も禁止されている(労働基準法では賃金のみで、別の法律でその他の労働条件差別について禁止されている)。

4、賃金:名称のいかんをとわず、労働の対価として使用者が労働者に支払うすべてのものを賃金という。

■労働契約(労働基準法)

1、労働契約:使用者と労働者の労務に服することを約束する契約のことを労働契約という。使用者は労働契約を結ぶときに労働条件を明示する必要がある

2、労働条件:労働基準法に達していない労働条件があった場合、基準に達していない部分だけが無効であり労働基準法の基準通りに見直され、それ以外については有効である。労働契約全体が無効になるわけではない

3、労働時間:労働時間の上限は休憩時間を除いて1日8時間、1週間40時間となっている。休日は1週間に1日以上はとらなければならない。ただし、使用者と労働者間で労使協定(書面による約束)が結ばれていれば、規定以上働くことができる

4、休憩:労働時間が6時間以内であれば休憩は必要ない。労働時間が6時間から8時間の間であれば途中に45分の休憩が必要である。労働時間が8時間を超える場合は途中に1時間の休憩が必要である。

5、年次有給休暇:会社の休日以外にも、給料が支払われる休日を労働者に与えなければいけない。これを年次有給休暇という。入社後6ヶ月間継続勤務し、労働日の8割以上出勤していれば、10労働日の休日がもらえる。それ以降も、1年ごとに一定日数がもらえる。

6、労働契約の期間:労働契約の期間は原則として3年以内にする必要がある。ただし、(1)一定の職種において専門的な知識を持っている人、(2)60歳以上の人の場合は5年以内となっている。

7、解雇:使用者が労働契約を解除することを解雇という。使用者が合理的な理由もなしに解雇することは、解雇権の濫用として無効となる場合があり、労働者を保護するためにも解雇制限が設けられている。

8、解雇制限:解雇してはいけない条件のことを解雇制限といい、(1)業務上のケガのために休んでいる期間およびその後30日間、(2)産前産後休業の期間およびその後の30日間、などがそれにあたる。

9、解雇予告:労働者は突然使用者から解雇されると困るので、使用者は解雇する日の少なくとも30日前までには労働者に解雇の予告をしなければならない。30日前に予告をしないときは、30日分以上の平均賃金(1日分の給料)を支払わなければならない。ただし、この30日前は、平均賃金を支払った日数分だけ減らすことができる
■子供(労働基準法)

1、子供:子供には、勉学など労働よりも重要な事柄があるので、大人に比べ厳しい規制がされている。

2、年少者と児童:満18歳未満の者のことを年少者といい、満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの者(つまり中学校を卒業するまで)を児童という。原則として、児童は労働者として使用してはならない。ただし、簡単な労働で、行政官庁(労働基準監督署)の許可をもらうなどの条件を満たせば満13歳以上の児童であれば使用することができる。満13歳未満でも、映画の子役など限られた場合には使用することができる。

■女性(労働基準法)

1、女性:女性は、男性にはない保護規定がされている。

2、出産:女性は出産の予定日の6週間前から、出産後8週間経つまでは会社を休むことができる。生まれる子供が双子や三つ子の場合は、出産の予定日の14週間前からとなる。

3、生理:女性は、生理日において働けない状況であれば会社を休むことができる。この場合、無給でもかまわない。

■就業規則(労働基準法)

1、就業規則:会社(使用者)が作る会社のルールを就業規則という。常時10人以上の労働者を使用する使用者は必ず就業規則を作成し、労働者の意見書も添付して労働基準監督署に届けなければならない。労働者の意見書とは、就業規則についての同意である必要はなく、就業規則についての意見(反対でもよい)であればよい。これは、労働基準法が定められているのでそれに合致しない就業規則を作ることは不可能と考えられているからである。

■労働組合法

1、労働組合:労働者が主体となって自主的に労働条件の向上を目指すために活動する団体を労働組合という。使用者側の人間が参加している場合や使用者側から金銭的援助を受けている場合は原則として労働組合とはいえない。

2、労働組合法:労働者や労働組合を保護するための法律を労働組合法という。労働基準法とは違い、失業者も含まれる

3、労働協約:労働組合と使用者が労働条件などについての約束を書面に作成し、双方が署名または記名押印したものを労働協約という。労働協約の有効期間は上限3年で、3年を超える期間で結ばれたものは3年の有効期間で結んだものとみなされる。また、有効期間が定められていない場合は、少なくとも90日前に文書で相手側に予告すれば、一方的に解約することができる

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