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環境問題



■日本の環境問題のあゆみ

1、戦前:日本では明治初期より公害問題が発生していたが社会的意識は非常に低かった。精錬所の排水、ばい煙、悪臭など様々であった。足尾銅山の公害問題は有名である。

2、戦後すぐ:例えば東京都では1949年に公害防止条例が制定されるなど、特定の地方公共団体では先駆的な取り組みがされるようになった。だが、まだこの頃は公害問題といえば一部の地域だけの問題とされていた。

3、高度経済成長期:1955年以降の高度経済成長期になると、水質汚濁、大気汚染、地盤沈下などが深刻化し、国による環境保全制度の整備が行われるようになった。各種の公害規正法が制定されるようになったが、十分とはいえなかった。

4、1970年前後:1967年に公害対策基本法が制定された。また1970年の公害国会において公害関係14法の制定と改正が行われ公害関係法規の充実強化が図られた。この頃よりレジャーブームや観光開発が自然に与える影響も深刻化するようになった。1971年には環境庁の設置、1972年には自然環境保全法が制定された。国による一元的な公害対策、自然保護対策がなされるようになった。

5、1980年前後:経済も安定成長するようになり、一時期の危機的な公害問題などはなくなったものの、国民の生活様式の変化などからくる新しい公害問題などが発生するようになって来た。

6、1990年代:地球温暖化、酸性雨、熱帯林の減少など地球規模での環境問題に対する国民の意識が高まってき、持続可能な開発が重要視されるようになった。1993年に従来の公害対策基本法が廃止され、環境基本法が施行された。1997年には京都会議が開催された

7、年表:環境問題に関する年表は以下を参照。


■条約

1、条約:地球規模での環境問題に関する条約はいくつかあるが、代表的なものを以下に載せておく。

2、ワシントン条約:ワシントン条約は、正式名称を絶滅の恐れのある野生動植物の国際取引に関する条約という。1975年発効された。CITES(サイテス)といわれることもある。絶滅の恐れのあるものを、T、U、Vにわけ国際取引などを規制している。今現在で、約3万種がリストアップされている。絶滅の恐れのある野生動植物はレッドデータアニマルズと呼ばれることもある。日本は1980年締約国となり、種の保存法により国内取引を規制している。

3、ラムサール条約:ラムサール条約(ラムサールはイランの都市)は1971年制定、1975年に発効された湿原の保存に関する国際条約である。水鳥にとって貴重な生息地である湿原を守るために作られた。日本は1980年に締約国となり、釧路湿原が最初の指定地であり、現在13箇所が登録されている。

4、バーゼル条約:廃棄物を処理能力の無い国に移送した結果、受入国の環境が破壊されないようにするための国際的な協調の枠組みを内容とする条約である。

5、ロンドン条約:海洋環境を守るため船舶等からの廃棄物や汚染物質の排出を規制する条約である。

6、ウィーン条約:オゾン層保護のため、オゾン層やオゾン層を破壊する物質について研究すること及び各国がオゾン層保護のための対策を実施することなどを規定した条約である。
■リサイクル法

1、リサイクル:リサイクルとは製品化されたものを再資源化して新たな製品などを作り再利用することをいう。マテリアルリサイクル(素材として再利用)とサーマリサイクル(熱として再利用)に分類される。また、ゴミ自体を減らすことをリデュースといい、製品などを再利用することをリユースという。

2、リサイクル法:リサイクル関連の法には以下の表のようなものがある。

■日本の4大公害裁判

1、4大公害裁判:日本では高度成長期、経済合理性を追求するあまり深刻な公害問題が多数発生したが、四日市ぜんそく、イタイイタイ病、熊本水俣病、新潟水俣病の4つは4大公害とされ有名である。全ての裁判において原告側が勝訴している。

2、四日市ぜんそく:四日市ぜんそくとは、三重県四日市において1960年から1972年にかけて発生した大気汚染による集団喘息障害のことである。

3、イタイイタイ病:イタイイタイ病とは、岐阜県にある三井金属鉱業株式会社管理の神岡鉱山が排出したカドミウムによる事件である。川に流れたカドミウムが体内に取り込まれカルシウムとおきかわることにより、セキをしただけでも骨折するなどの症状が現れた。

4、熊本水俣病:熊本水俣病とは、1956年ごろ発生した水銀中毒による事件のことである。新日本窒素肥料(現在のチッソ)の水俣工場が行ったアセトアルデヒド生産時の触媒による副産物であるメチル水銀を含んだ廃液が汚染処理の行われないまま海に流され、魚介類がそれらを吸収し、人間が魚介類を食べることによって発病がおこった。手足の痺れや、呼吸困難、精神錯乱などを引き起こした。

5、新潟水俣病:新潟水俣病とは、1964年に確認された昭和電工が排出した水銀による事件である。熊本水俣病と似ているので新潟水俣病といわれている。通常、水俣病といえば熊本水俣病のことであり、新潟水俣病は第二水俣病とも言われる。

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